介護保険法関連法の実施により、今後は市町村の総合事業を開始する地域が出てきます。
総合事業の新たなサービスにおいて、事業者と有償ボランティアが契約してサービスを行うケースの増加が見込まれますが、その際に今後はコンプライアンス上のグレーゾーンの問題が発生します。
とりわけ、介護職員を有償ボランティアという扱いにして、実質的に低賃金で業務に従事されるような場合は留意する必要があります。
ガイドラインのQ&A「有償ボランティアと労働基準法第 9 条」では、以下のように記載されています。
介護保険最新情報vol.417
「介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン案」についてのQ&A【平成27年2月4日版】
問1 有償ボランティアは、労働基準法第9 条の労働者に該当する場合があるのか。
(答)
1 総合事業においては有償ボランティアの方々の活躍も期待されるが、ボランティア活動は、一般的には「自発的な意志に基づき他人や社会に貢献する行為」とされ、その性格として「自主性」、「社会性」等があげられる。
その中で、有償ボランティアは、ボランティアによる支援に対し、交通費などの実費や謝金の支払いを受けるものである。
2 その中で、有償ボランティアと称していても、個別の事案ごとに活動実態を総合的に判断し、使用従属関係下にあると認められる場合には、労働基準法第9 条の労働者であるとして、労働基準関係法令や最低賃金法の適用対象となる。
3 労働基準法第9条の労働者に該当するか否かに当たっては、以下の点等について総合的に勘案して判断することになる。
・ ある活動日、活動時間に、活動を行うことについて、指示があるか(注1)
(注1)活動を行うことについて、ボランティアに諾否の自由があるか
・ 活動時間の延長や、活動日以外の日における活動指示が行われているか
・ 活動の割当、活動時間の指定、活動の遂行に関する指揮命令違反に対する手当等の減額等の制裁があるか
・ 欠席・遅刻・早退に対する手当の減額制裁があるか(実活動時間に応じた手当を支給する場合にお
いては、活動しなかった時間分以上の減額を行っている場合があるか)
・ ボランティアが、一般の労働者と明確に区分されているか(注2)
(注2) 「明確に区分されている」とは、例えば、活動場所については、一般の労働者と全く異な
る部屋で活動しなければならないということではなく、一般の労働者と同じ部屋の中で活動する場
合であっても、対象者がボランティアであることが分かるよう区別されていることが考えられる。
(ボランティアと表記された名札を付ける等)
*これらの問題は今後の介護関連サービスのあり方を左右する大きな問題となる可能性がありますから、疑問に思われる点がおありの場合はぜひお早目の対策をお勧めいたします。